ラーメン業界

国内市場規模は4500億円

富士経済によると、日本のラーメン市場の規模は約4500億円(2019年)と見られている。前年比横ばいで推移している。個人経営の店が次々と生まれ、競争が激しい業界である。新規開業店のうち40%が、オープンから1年以内に閉店に追い込まれるという。飲食業界の中でも、とりわけ生き残りが難しい。流行も目まぐるしく変わる。

人材確保が難題

ラーメン業界は、他の外食業界と同様に人材確保の問題を抱えている。外国人スタッフの採用を積極的に進めており、中国をはじめ、ベトナムやフィリピン、ブラジル、ネパールなどからの採用が増えている。

海外に活路

また、国内市場は成熟しており、大きな伸びが見込めない。そこで、多くのラーメン店が海外への進出を始めている。アジアや北米をはじめ、ヨーロッパへの進出も目立つ。

「一風堂」「味千(あじせん)」が好調

中には、海外で順調に店舗を増やしているケースもある。例えば「力の源ホールディングス」(福岡県福岡市)が展開する「一風堂」が欧米やアジアで好調だ。「重光(しげみつ)産業」(熊本県菊陽町)が展開する「味千拉麺(あじせんラーメン)」も、中国で大成功している。

コンビニと有名店の提携も

有名ラーメン店のブランドを掲げたカップラーメンも増えている。とくにコンビニが独自商品として人気店との提携に積極的だ。

ラーメン関連の上場企業の一覧

上場企業名 店舗名(ブランド)
王将フードサービス 「餃子の王将」
リンガーハット 「長崎ちゃんぽん リンガーハット」
イートアンド 「大阪王将」
JBイレブン 「一刻魁堂」(いっこくさきがけどう)
物語コーポレーション 「丸源ラーメン」
ワイエスフード 「山小屋」
丸千代山岡家 「ラーメン山岡家」
幸楽苑ホールディングス 「幸楽苑」(こうらくえん)
ハイデイ日高 「日高屋」
ハチバン 「8番らーめん」
ギフト 「町田商店」


スナップアップのラーメン株の推奨銘柄の実績例(2020年)

当サイトのスタッフが、いつも投資の判断材料に活用している「スナップアップ投資顧問」の推奨銘柄を紹介します。 ラーメン業界に関する上場企業のうち、スナップアップが高騰期待銘柄として配信した事例の一部になります。


■ ギフト(町田商店)(2020年9月推奨)

業種 外食(ラーメン)
推奨時点の株価
(推奨日の始値)
1,410円
(2020年9月1日)
推奨後の高値 1,870円
(2020年9月24日)
上昇倍率 1.3倍
現在の株価 こちら→
市場 東証1部
(2018年10月、東証マザーズに上場)
証券コード 9279
ロゴ ギフト

ギフトは、ラーメン店の運営会社。「町田商店」という店名でチェーン展開している。「横浜家系(いえけい)ラーメン」というジャンルを標榜(ぼう)している。ラーメン店を自ら経営するだけでなく、他のラーメン店に食材を販売する事業も行っている。

家系ラーメン

味の特徴

ギフト直営の町田商店のラーメンは、クリーミーなスープが特徴である。本来の家系ラーメンに比べてさっぱりした味になっている。臭みを抑えた食べやすさがウリ。「最後の一滴まで、スープを飲み干せるような味」を心がけているという。麺は中太麺。三種類の小麦をブレンドしているという。

「資本系」に属する

家系ラーメンは以下の3つに分類される。このうち、町田商店は「資本系」の代表的な存在と位置づけられている。

家系ラーメンの分類
直系 家系の元祖・吉村家(よしむらや、横浜市)の系譜を継ぐ店。吉村家で修業した弟子たちが、吉村家の承諾を得て独立。
インスパイア系 吉村家(横浜市)の味に触発された人たちが、独自に開業した。
資本系 豊富な資金力をバックに、チェーン展開する。比較的新しい勢力。

直営店「町田商店」

出店エリア

町田商店の出店エリアは、東京都、神奈川県、埼玉県、群馬県、大阪府、兵庫県、愛知県など、大都市圏が中心だ。海外では、シンガポール、ロサンゼルス、ニューヨークに出店している。

「駅近」と「郊外」で異なる戦略

直営店は「駅近」と「郊外」に分けて、それぞれ異なる戦略で出店を進めている。

「駅近」は、それぞれの街の名前

駅近の直営店では、町田商店ではなく、出店先の駅や街の名前を店名に採用することが多い。例えば「代々木商店」「池袋商店」「四谷商店」などだ。あえて地域感を出して、親しまれやすい店名にしているのだという。味についても、お客さんの反応を見ながら店によって微妙に変えているという。

<駅近の直営店の店名の例>
  • 池袋商店(東京)
  • 代々木商店(東京)
  • 荻窪商店(東京)
  • 綱島商店(横浜)
  • 三ノ宮商店(神戸)
郊外(ロードサイド)

郊外では、「町田商店」のブランド名で統一している。メニューや味も均一化している。「家族で安心して訪れる」ことを最優先に掲げている。

家族層向けのあっさり味も

こってりした醤油とんこつのラーメンだけでなく、あっさりした醤油ラーメン、つけ麺も提供している。おじいちゃん、おばあちゃんも来店できるメニューづくりに取り組んでいる。このほか、餃子(ギョーザ)などのサイドメニューも充実させている。20、30台くらい収容できる駐車場を備える。

サイドメニューも充実

家族連れの多い郊外では、ギョーザなどサイドメニューを注文することが多く、客単価も高い。また、初期投資が重いため、個人店は出店しづらい。こうした事情から、積極的に郊外への直営店の出店を進めている。

プロデュース事業

ギフトの最大の特徴は、直営店だけでなく、「プロデュース」業務を行っている点にある。通常、大手の外食チェーン店は、フランチャイズ店で規模拡大を図るのが一般的だ。しかし、ギフトの場合は、フランチャイズでなく「プロデュース店」という方式を採用している。売上高の比率としては、直営店が76%、プロデュース事業が24%になっている。

フランチャイズより縛りが弱い

ギフトのプロデュース店は、フランチャイズに比べて「縛り」が弱い。 ギフトはプロデュース店に対して、麺やスープなどの食材を販売する。食材とは、具体的には「麺」「スープ」「タレ」だ。ギフトはそれによって定期的に収益を得る。

開業支援

その見返りとして、各店に対して様々な面での開業支援を行う。店舗運営ノウハウを提供するほか、外装なども指南する。ノウハウ等の提供ではギフト側は対価を得ない。

「ノウハウ」の具体例

ギフトがプロデュース店に提供する運営ノウハウには、具体的には以下のものがある。

  • 物件開発
  • メニュー開発
  • 社員研修
  • 店舗デザイン
  • オープン後のサポート
店の名前は自由に決める

一般的に、通常のフランチャイズの場合、あくまで本部(運営会社)の看板を借りて商売をする。しかし、ギフトのプロデュース事業では、店の名前はそれぞれの経営者(店主)が自由に決める。町田商店の名前は出さない。あくまでも、ラーメンは各店舗の商品として提供される。

ロゴなども、それぞれの店舗オーナーが自由につくる。「横浜家系」という看板は掲げるが、店名やブランドはばらばらである。自分たちの愛着のある店の名前をつけてもらう。オーナー側の裁量の余地が大きいのだ。

ロイヤリティ(加盟料)がない

フランチャイズ方式との最大の違いは、金銭面の負担である。通常のフランチャイズでは、売上高の一部を本部に上納する。しかし、ギフトのプロデュース事業では、ロイヤリティ(加盟料)が発生しない。保証金や経営指導料もとらない。

味が変えられる

さらに、通常のフランチャイズだとレシピが決まっているが、ギフトのプロデュース店の場合は、独自の改良を加えることができる。

創業者・田川翔氏

ギフトの創業者は、田川翔(たがわ・しょう)社長だ。1982年11月生まれ。千葉県出身。

幼少期からラーメン好き

田川社長は幼い頃から家系ラーメン店が好きだったという。とりわけ、5歳のときに近所にオープンしたラーメン店の味に感動した。その名は「ラーメンかいざん(当時:ニューラーメンショップかいざん)」(千葉県習志野市)。親に頼んで、毎週通わせてもらった。「こんなラーメンを自分でもつくってみたい」と子供ながらに思ったという。

中学・高校時代

中学生の頃には、早くもラーメン屋になると決めていた。高校時代は修業先を見つけるために、ひたすらラーメンを食べ歩いた。ラーメン業界のダイナミズムに魅了された。おいしいラーメン店には行列ができる。おいしくなければ誰も並ばない。極めてシンプルだ。そんな世界で勝負がしたいと思ったという。

横浜の行列店「壱六家(いちろくや)」と出会う

そうしてたどり着いたのは横浜市内の家系ラーメン店だ。横浜市磯子区の人気ラーメン店「壱六家(いちろくや)」。横浜市磯子区といえば、元祖・吉村屋の発祥の地である。国道16号線にあるから、16(壱六)という名前が付けられていた。駅から遠いのに、行列の絶えない店だった。「ここのラーメンを覚えれば、必ずいける」と考えた。

修行

高校卒業後の2001年、「壱六家」を運営する会社「ヒロキ・アドバンス」に入社した。すぐに店で修業を開始。行列を作る客一人一人の注文を必死に暗記するところから始めた。6年間修業した。

独立

25歳になった2008年。貯金がたまったため、個人事業として町田商店を創業した。東京・町田駅の近くだ。

お店がガラガラ

滑り出しは好調だったが、すぐにお店ガラガラになった。資金が底をついて、月末の給料が払えないという状態にも陥った。そこで、味を改良することにした。当初「自分のやり方で勝負したい」と思っていたため、修業先で覚えた味は捨てた。しかし、客が増えないため、修業先のやり方に戻した。すると、人気が高まった。

法人化

2009年に法人化した。会社名は町田商店。現在のギフトの誕生である。

プロデュース事業の開始

2010年、2号店の「代々木商店」を出店することになった。入居した物件では、スープを炊くときに、においが出すことが許されなかった。そこで、別の場所でオリジナルのスープをつくる必要があった。

「どうせなら」と、スープを買ってくれるラーメン店を10店舗くらい探して集めた。これが、プロデュース事業の始まりとなった。

上場

直営店とプロデュース業がともに成功。2018年10月19日に東証マザーズに上場した。さらに、2020年9月、東証一部へ昇格した。

直営店は100を超える

2000年の時点で直営店の数は100を超えた。プロデュース店も400店舗を突破した。



「サッポロ一番」がマルタイの2位の大株主に

「棒ラーメン」で知られる即席めん8位のマルタイ(福岡県福岡市)は2009年10月、即席めん3位で人気ブランド「サッポロ一番」を持つサンヨー食品(東京)と資本・業務提携を結んだと発表した。

2009年11月にマルタイが第3者割当増資を実施し、サンヨー食品が発行済み株式(増資後)の約20%に当たる新株を引き受けた。

マルタイは、385万株を発行し、サンヨー食品と筆頭株主の西部ガス(福岡市)が半数ずつ引き受けた。サンヨー食品は第2位の株主となり、西部ガスの持ち株比率は約34%に上昇した。

即席めん業界では、2006年11月に業界最大手の日清食品と4位の明星食品が資本・業務提携。2007年には、日清が明星を子会社化した。